遺留分(いりゅうぶん)について

相続の時に遺言書が出てきたが、特定の相続人に全財産を相続させるとか、

全財産を遺贈するという内容だった。

または、相続人の一人にだけ多大な生前贈与があった・・・

こんな時、あなたは、どうしますか?

 

遺留分とは、

相続財産(遺産)のうち、一定の相続人にかならず残しておかなければならないと

されている一定の割合額のことをいいます。

民法においても、被相続人は贈与や遺贈によってこれを奪うことができない(1028条~1044条)

とされています。

もちろん、被相続人自身の財産ですから、

遺言または生前贈与により自由に財産を処分できるのが原則です。

とはいえ、その一方で、

遺された近親者である相続人の生活保障や相続財産の公平な分配という観点からは、

妻や子など相続人にまったく財産が残らないような処分を許すことは望ましくありません。

こうしたことから、被相続人の自由な財産処分は一定限度で制約し、

いくら被相続人本人の財産であっても、自由に処分できない相続財産の一定割合額を、

特定の相続人のために定めたものなのです。

 

たとえ、もし、ある遺言書で相続人の一人に全ての相続財産を相続させる旨の遺言があったとしても、

別の相続人は自己が有する遺留分に基づき、

一定の割合の相続財産を相続することができることになります。

遺留分の割合

遺留分を持つ相続人は、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人です。

すなわち、被相続人の配偶者、子及びその代襲者、直系尊属(両親、祖父母など)です。

 

遺留分の割合は相続人が誰になるのかによって違ってきます。

①直系尊属のみが相続人である場合には被相続人の財産の 1/3

②その他の場合には被相続人の財産の1/2となります。

   ※同順位の相続人が2人以上いる場合は、各相続人の遺留分は上記割合の財産を同   

    順位の人数に応じて均分した割合となります。

遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)

遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害している受遺者や受贈者、

あるいは他の相続人に対してその侵害額を請求することができます。

これを 遺留分減殺請求 といいます。

遺留分が侵害されている者は、自分自身が減殺請求してはじめて遺留分を取り戻すことができるのです。

つまり、請求しなければ、遺贈などを受けた者がそのまま財産を取得することになります。 

 

【遺留分減殺請求の行使期間及び行使方法】

遺留分減殺請求権は、

相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈・遺言の存在を知ったときから1年以内、

かつ

相続開始(通常は被相続人が死亡した場合)の時から10年以内

に行使する必要があります。

 

 

(※例)Xさんの相続について、遠方に住んでいて死亡を知らされておらず財産をもらえなかった二男のBさんが、兄のAさんへ遺留分減殺請求したい。

この場合、Xさんの死後まる10年経過していれば、もはや遺留分減殺請求できません。

しかし、たとえばXさんの死から5年たっていても、BさんがXさんの死を知ったのが半年前(死後4年半たったときに帰国して父の死を初めて知った、など)であれば、「Bさんが自分が相続人になったことを知ってから1年以内、かつXさんの死後10年以内」なので、遺留分減殺請求できます。

 

定められた「知って1年以内+被相続人の死亡から10年以内」の期間内に遺留分減殺請求権を行使しなければ、請求権は消滅してしまいます。

 

ご注意ください。

 

【遺留分減殺請求の効果】

遺留分減殺請求は、請求により直ちに効果が発生します。

すなわち、遺留分減殺請求権を行使することにより、

遺留分の割合に応じて相続財産を取得することができるのです。

 

しかし、あくまで総財産に対して割合的に取得するだけであって、

ずっ際には、どの財産をどういう形で取得するかは、

遺留分減殺請求の相手方と協議で決めることになります。

 

遺留分減殺請求の相手方】

遺留分を侵害されている相続人は、それを取り帰すために、

遺留分を侵害している者に対して遺留分減殺請求をすることができます。

遺言や生前贈与の内容によっては、他の相続人だけではなく、

本当であれば、全く関係のない第三者が、遺留分減殺請求の相手方となることもあります。